犬の薬の飲ませ方
【薬の飲ませ方】
動物用の内服薬の形(剤形)は、錠剤、カプセル、粉薬、水薬などいろいろあります。
動物用の薬の中には犬や猫が好む味や香りのつけられたものもありますが、薬と名のつくものの大半は、味のいいものではありません。
病院ではオーナーに確実に薬を与えてもらえるように、患者の性質や食習慣などいろいろ考慮して薬を選んでいます。
今回は、その薬の飲ませ方についてご紹介したいと思います。
【なぜ動物は薬を飲むのをいやがるか】
動物は、本能的に体に悪いものを口にしないメカニズムがあり、自分の命を守っています。
人間の場合、おいしいけれど毒になるものや、おいしくないけれど体にいいものがあるかと思います。
人間に飼われている犬や猫の本能の部分は、本来の自然からみると多少変動があると思いますが、
人間よりは知識が本能を制している部分があります。
そのためその薬が、飲んだら死んでしまうような恐ろしいものなのか、
体に必要な治療薬なのか、本能では理解できません。
いやがって抵抗するのは当たり前。
人間であれば、この薬はおいしくないけれど安全で体のために必要なのだと納得すれば飲むことができますが、
犬や描にこれを理解させるのは難しいと言えるでしょう。
【上手に薬を飲ませるコツ】
①極端に味やにおいが悪くない粉薬、水薬あるいはつぶした錠剤などは、好物にまぶす
ただし、錠剤やカプセルをつぶして与えてもよいかどうかは、病院で確認しておいてください。
②錠剤やカプセルをのませる時は、好物に埋め込んで与えてみます。
一口サイズにした好物を数個用意し、はじめに一個か二個、薬の入っていないものをあげます。
『もっとちょうだい!』という顔をしたら、薬入りのものをさりげなく与えます。
③錠剤やカプセルを直接のどに押し込んで与えることができます。
口を開けさせて、のどのずっと奥に思い切りよく錠剤を突っ込みます。
間違って気管にはいってしまうなどということはまずありません。できるだけ奥へ素早く入れましょう。
すぐにロを軽く閉じさせ、飲み込むまで待ちます。
飲み込む時にペロッと舌を出しますから、これがみられたらOKです。
いつまでも飲み下さない時はスポイトなどで水を与えれば、すぐに飲み下すこともあります。
④水薬は、スポイトやプラスチックの注射器を使ってロに注ぎ込んで与えます。
口を大きく開けていては、水分を飲み下すことができませんから、口は閉じた状態で、唇のすき間からゆっくりと入れてあげます。
⑤粉薬は、濡らした指先で上顎になすりつけて与えることもできます。
ごく小量の水で練ってからの方が与えやすい薬もあります。
水薬の方が飲ませやすい子の場合は、粉薬を水に溶いてスポイトなどで飲ませましょう。
【まとめ】
オーナーが『嫌がるに飲ませるのはかわいそう』と思ったら、犬や猫は絶対に薬を飲まなくなるでしょう。
どんな時も、オーナーが『治療のために薬を飲ませることが必要だ』ということをよく理解し、
毅然として『薬は、いやでも飲まなくてはだめよ』という態度で臨むことが大事です。